INTRODUCTION
幻のミュージシャン、エクスネ・ケディが消息を絶った1974年から半世紀経った2018年にこの物語は始まる。エクスネの熱烈なファンである女子高生イブキと少年ジュンは、その音楽に導かれるように運命的な恋に落ちる。やがてそれぞれが別の道を歩み始めたふたりであったが、4年後の2022年、エクスネ・ケディ再結成ライブが行われる。いまだ鳴り響くその音楽に引寄せられるように会場にやってきたふたりは……。
脚本・監督を務めたのは、『大和(カリフォルニア)』(16)、『TOURISM』(17)、『VIDEOPHOBIA』(19)で鮮烈な映像世界を作り上げ、世界各国の映画祭や海外メディアでも絶賛されるなど、国境を越えて高い評価を得る宮崎大祐。音楽に強いこだわりを持ってきた宮崎が初めてロックを題材にした本作では、エクスネ・ケディのナンバーや、井手健介がこの映画のために結成したPLASTIC KEDY BANDが手掛けるオリジナルスコアも主人公の1人だ。
イブキ役には『石がある』(22)で主演を務めた小川あん。ジュン役は、主演作『LONESOME VACATION』(23)の公開が控える藤江琢磨。そして、小泉今日子、鈴木慶一、とよた真帆、尾野真千子ら個性豊かなキャストが脇を固める。
『シング・ストリート 未来へのうた』(2016年)、『リコリス・ピザ』(2022年)といった、音楽と物語が結びついた青春映画の名作たちに新たに加わる傑作が誕生した。
STORY
2018年の夏の終わり。東京から名古屋に引っ越してきたジュンは、ミュージシャンになることを夢見ていた。ギターを抱えて街に飛び出したジュンは、憧れている幻のミュージシャン、エクスネ・ケディの曲を弾き始める。ちょうどその頃、地元の高校生、イブキは大好きなエクスネ・ケディの曲をイヤフォンで聴きながら自転車をこいでいた。そこに聞こえてきた、もうひとつのエクスネ・ケディ。目の前にギターを弾いてシャウトするジュンがいた。
運命的な出会いをした2人はエクスネ・ケディの話で意気投合。気がつけば喫茶店で何時間も話し込んでいた。イブキの高校に転校して来たジュンは、イブキが所属する天文部の部室に使われないアンプやスピーカーが放置してあることを発見。早速ギターを弾き始める。最初は迷惑がっていたイブキの友達も、初めてエクスネ・ケディのレコードを聴いて夢中になった。そんな日々のなかでイブキとジュンは惹かれ合うようになり、ある夜、2人は初めてキスをした。
それから1年。夢を追い続けるために高校を中退したジュンと、東京の大学に進学すること決めたイブキの間に距離が生まれていた。久しぶりのドライヴでカーステレオからエクスネ・ケディの曲が流れてきても2人の心は弾まない。やがてコロナが社会を大きく変えていく中で、お互いの思いのすれ違いを埋められないままそれぞれの生活が始まる。そして、2022年。エクスネ・ケディが再結成ライヴすることを知って、ジュンとイブキの心は高鳴った。果たしてエクスネ・ケディは再び2人を出会わせることができるのか——。
DIRECTOR
宮崎大祐
1980年、神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、映画美学校を経て、フリーの助監督として商業映画の現場に参加しはじめる。2011年に初の長編作品『夜が終わる場所』を監督。南米最大であるサンパウロ国際映画祭やモントリオール・ヌーボーシネマ国際映画祭に出品され、トロント新世代映画祭では特別賞を受賞する。2013年にはイギリスのレインダンス国際映画祭が選定する「今注目すべき七人の日本人インディペンデント映画監督」のうちの一人に選ばれた。その年に参加したアジア四ヶ国によるオムニバス映画『5TO9』は、中華圏のアカデミー賞こと台北金馬国際影展など多数の国際映画祭に出品され、2018年夏より全国公開。長編第二作『大和(カリフォルニア)』はタリン・ブラックナイト映画祭を始め幾つもの国際映画祭で上映され、The New York TimesやVARIETY、Hollywood Reporterなどの海外有力メディアでも絶賛された。2019年にシンガポール国際映画祭とシンガポール・アートサイエンスミュージアムの共同製作である『TOURISM』を全国公開し、反響を呼ぶ。最新作の大阪を舞台にしたデジタル・スリラー『VIDEOPHOBIA』は映画芸術の年間ベスト6位に選ばれた。
FILMOGRAPHY
【長編映画】
『MADE IN YAMATO』(2021) 監督・プロデューサー
『VIDEOPHOBIA』(2019) 監督・プロデューサー
『TOURISM』 (2018) 監督・プロデューサー
『大和(カリフォルニア)』(2016) 監督・プロデューサー
『ファイブ・トゥ・ナイン』(2015)プロデューサー・日本編監督
『夜が終わる場所』(2011)監督・プロデューサー
【短編映画】
『Caveman’s Elegy』 (2022) 監督
『ヤマト探偵日記』 (2022) 監督
『I’LL BE YOUR MIRROR 』(2022) 監督・プロデューサー
『北新宿2055』(2021) 監督・プロデューサー
『Salad Days』 (2020) 監督・プロデューサー
『ざわめき』(2019) 監督・プロデューサー
『遊歩者』(2019) 監督・プロデューサー
『現代の海賊と女』(2007) 監督
『MARIA! MARIA!』 (2006) 監督
『Love Will Tear Us Apart』 (2005) 監督
『10th Room』 (2004) 監督
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